point of life

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いのちの食べ方

いのちの食べ方 | OUR DAILY BREAD というドキュメンタリー映画が 1/26 – 2/1 桜坂劇場で上映される。

まだ見ていないけれどトレーラーをみると見る価値のある映画だと思う。
日頃知ってるつもりになって目をそらしている、「動物・植物のいのちを食べている」という現実。
さらにそれをいかにして作っているのか。いのちがどう扱われているのか。
植物・動物が製品になり食べ物を作ることが大きな産業になっていのちが見えにくくなる社会。
みんなに勧められる映画ではないと思う、子供たちにはあまり見せたくないし大人でも受け入れられない人がいるとおもう。

でも少しでも気になったらトレーラーだけでも見てほしいな。とても大事なことだと思うから。

ここから先はぼくの経験と思うことを書く、生き物を殺すことそして食べること。
経験上この話は受け入れられる人とそうでない人がいるので、その手の話は苦手だなという人は読まないでね。
それはべつに悪いことではないと思う。
ぼくもセロリは苦手だ。いつか好きになるかもしれないとときどきかじってみるけどね。

***

さて。ぼくはよく食べる。好き嫌いはほぼ無いし、残さない。
いっしょにご飯を食べると気持ちいいね。と言ってもらえる。嬉しいねぇ。
もちろん、ほとんどの場合ほんとにおいしくてわしわし食べてるのだ。いつもいつも偉そうな理由で残さない訳じゃない。
というかほとんどない。w
偉いね。と言われることも多いけれど。それはぼくにしてみれば当然のコト。
「出してもらった物は、作った人に感謝してちゃんと食べなさい。」そう育ててくれた両親に感謝している。

意識して食べ物を大切にするようになったのは大学2年ちょうど20歳前後のころから。
学食で皿を洗うようになって、なんと贅沢に食べ物を残すんだろう。と思った。
そして、初めて自分の手で鶏を殺して肉にしたとき。
当時学生だったぼくはとある島のとある施設で調査のお世話になっていた。
そこで飼育している動物の餌を作る仕事を任された。

「umihiko 明日 10羽くるからよろしくね。」
そう言われると僕は翌朝港へ行き、でっかい麻袋を車に積んで戻ってくる。
ガレージの脇で袋をあけ、1羽づつ取り出し首を折っていく。
しばらくバタつく鶏たちが意識を失ってから、首をおとし血を抜いて部位に分けていく。
お腹を裂き手をいれるとまだ暖かい。
手羽・もも・ムネ・ささみ・すなずり・ネック etc..
部位にわけて重さを量って冷凍庫に入れると仕事は終了。
いくつかの肉や卵は僕の夕飯になる。
血と脂だらけの手を洗う。べとつきはそんなに不快ではなかった。

あたまの中で知っていた屠殺が自分の感覚といっしょになった体験だ。
このあと、殺したてのイノシシを山から担ぎおろしたり、牛を肉にするという。
大きな動物が目の前で殺され肉になっていく過程に関わった。
どちらも大暴れだし、牛なんてまさに解体という言葉があてはまるくらいにでかい、肉と血で80-100kgもある。
そこで感じてきたことを言葉にすると。

『ヒトはわりと簡単に他のいのちを奪う力がある。でも、いのちは理由と責任無く奪われてはいけない。』

殺す気はなかったけれど、殴ったら死んでしまった。
そんな言葉を聞いたり見たりすると腹が立つ。自分にヒトを殺す力があると思ってなかったのだろう。
生き物の脆さも知らない。
確実にヒトはヒトをも殺せる。

ある島ではめずらしい肉が出てきた。公には絶対に手に入らない肉だ。
おいしく食べた。だってもう肉になっているのだ、おいしく食べてごちそうさまといわなくちゃ。
肉にされるために殺されたのだから。きちんと食べる責任がある。

振り返ってみて僕がこんなふうにいのちのいろいろを受け入れられているのは両親が僕に伝えてきたことが大きい。
「君は生き物を食べているんだよ。」と。僕はそれを受け継いで、伝えていく。

これは僕はこう思う。
ということで正しいかどうかはどうでもいい。

でもね。世のおとうさんやおかあさんになっていく僕の同世代たちには向き合ってほしいことなんだ。
魚の絵を書きなさいと言われて、切り身を書く子供がたくさんいる世界は間違ってる気がするから。
僕が多くを両親から教わったように。いちばん大きく影響を与えられるのが両親だと思う。

そして、ぼくはあしたからもおいしく”いのち”を食べて生きていく。
そういうこと。

2 comments
  1. よう says: 2008.01.1211:18

    同感。俺もしっかり伝えるよ

  2. pokke104 says: 2008.01.1219:31

    とてもとても共感させられる日記で
    私もその映画を心で感じて、生と死をもっと理解しないといけないと思ったよ。
    沢山の命の為に
    とても興味深い情報そしてこれから次ぎの世代に伝えたい内容をもっと詳しくしりたいと
    思うよ。教えてくれてありがとう。。

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